突然ですが、皆さまのお誕生日はいつでしょうか?
私の誕生日は3日違いの息子の誕生日に吸収され、毎年細々と祝われております……。
さて、そんな今日は日本のお誕生日といわれている、建国記念の日です。
全国各地にて日本の建国をお祝いするため、さまざまな行事がおこなわれます。
今年は感染症の影響にて盛大にはできないでしょうが、例年は日の丸をかかげてパレードをおこなったり、大きな会場で式典をおこなったり……。
神社においても、紀元祭(きげんさい)という祭典をおこない、神さまにお祝いの言葉を奏上いたします。
では、日本のお誕生日とはいつのことなのでしょうか。
それは、初代天皇である神武天皇(じんむてんのう)が即位された日。
日本神話にはこう描かれています。
神武天皇はこの国を平定されるため、今の宮崎県から東へ東へと進まれました。
あまたの困難を乗りこえ、ついにとある年の元日、今の奈良県橿原に都を開かれ即位されました。
その日を西暦に換算すると、紀元前660年2月11日。
以来この日が日本の始まり=紀元と定められました。
そしてその日から本日、2,681年が経ったことになります。
こう聞くと、「本当なの?」とか、「そんな非現実的な話で決めていいの?」と思う方も多いと思います。
実際、祝日の名称が「建国記念日」ではなく「建国記念の日」と、ぼやかしている理由のひとつでもあります。
わたしたち神職は神さまに仕えるものとして、また日頃の奉仕の体験から、神話に書かれていることは事実と思っていますし、「紀元前660年2月11日に日本が建国された」と自信をもって言います。
しかし、あまり神話に親しまれていない方にとっては、すこしびっくりされるのも無理はありません。
でも、神話を非現実的なものとしてとらえたとしても、国の始まりが古すぎてわからない、というのもすごいことだとは思いませんか。
日本が日本たるゆえんは、天皇陛下をはじめ皇室であることはいうまでもありません。
その皇室は江戸時代にも、戦国時代にも、平安時代にもずっとありつづけていて、いつから始まったか、というのは昔すぎて神話にたよるしかないのです。
そんな世界一ながく続く王朝である皇室をいただく日本に、私たちは生まれました。
そう思うと、ありがたいな、という感謝の気持ちが芽生えてきませんか。
建国記念の日は日本を「お祝いする日」であると同時に、「感謝する日」であると私は思います。
日本という国が、皇室という存在が、有って当たり前と思わず、あらためて「ありがたい」と思う日。
それが今日です。
おいしいご飯を食べたとき、素敵な人と仕事ができたとき、春のおとずれを感じたとき……。
日本という国にたくさん「ありがとう」と思える一日にすれば、もっとこの国を好きになれるかもしれません。
【おまけ】
戦前は子供たちに祝日の意味を教えるため、それぞれの歌がありました。
当然「紀元節の歌」もあります。
文語で書かれた難解な歌詞ですが、一つひとつ意味を理解しながら、今日という日のありがたさをかみしめていただければ幸いです。